『アルシャードガイア』セッション 「女王の歌声」

※ 本シナリオは、別に公式でも何でもないB+Pオリジナルのシナリオです。
  よって、ネタバレも何も気にする事など何もないのですが、兎角えらく長くなってます
  読み奨める場合には、その事を十分に承知した上で、多少の誤字脱字は見逃す寛大な心を用意してください。
  例によって見直ししてませんのでw




GM:B+P


・棟条 静音(とうじょう しずね)
 PC1 18歳 female レジェンド/ファイター/ファイター
世界に名だたる大財閥のひとつ『棟条コンツェルン』。その影響力は非常に強く、経済は勿論のこと、政治面でも最近は強い権限を持ち始め、あのナインライブズ家に対抗しうる唯一の存在と目されている*1
そしてその権力は、裏の世界――“クエスター”の世界でも同様である。独自の組織網を持ち、奈落から人知れず世界を救いつづけている棟条コンツェルン・・・静音は、そんな棟条家本家の一人娘にして、ゆくゆくはこの大財閥のトップに立つ運命を背負う、正に“生まれながらの王”である。
だが、まだ彼女は若干18歳。まだまだ知識も経験も十二分とは言えない。静音は、山の手のお嬢様学園に通いあらゆる帝王学を学ぶ傍ら、クエスターとして『雷槍』を手に奈落と戦い続けるという2重の生活を送っている。全ては“棟条”の名を受け継ぐ為・・・。
生粋のお嬢様、しかも大財閥の跡取ということもあって、性格は上品かつクール。アレですな・・・某「ごきげんよう」なお姉さまの、“表面部分だけ”をそのまんま切り取って裏表に貼り付けたような・・・いわゆる理想的お姉さま像ってヤツ? いや、よくわかりませんがw
PL:白兎


・ジャック・オー・ランタン
 PC2 35歳 male ガンスリンガーガンスリンガー/スカウト
世界各地の戦場を渡り歩く傭兵部隊『Pmpkin Heads』。血と硝煙と叩きつけるような殺意・・・三度のメシよりそれらを好む『Pmpkin Heads』。「TRICK OR TREATお菓子をくれないといたずらするぞ」が合言葉の『Pmpkin Heads』・・・。
部隊がジャック一人を残して全滅したのはついこの前の話。“ヤツら”は突然現われた。ジャングルの中で交戦する自分達、敵、その他・・・ありとあらゆる生き物の区別なく貪り喰らう“インセクト種”と呼ばれる奈落の集団が!
『Pmpkin Heads』とて奈落と戦うのは1度や2度では無い。寧ろ最近ではそういった依頼も頻繁に舞い込むようにはなってきていた。だが今回は相手が悪かった。一個分隊で一国と正面からドンパチやらかすようなモノだった。
仲間が一人消え、二人消え・・・それでもジャックは戦う事を止めようとはしなかった。そして遂にヤツらの親玉であるマザーへと辿り着き、彼奴に致命的なダメージを負わせる事に成功する! ・・・だが“ツメ”が甘かった。マザーは恨みの言葉を残し逃亡。己の未熟さと仇敵への憎しみを胸に、ジャックはマザーの追跡を開始した・・・。
・・・とまぁ、オープニングはそんなカンジで格好良かったのですが、「戦場での暮らしが長かったせいで街での常識を知らないんじゃよー」とか言って、飲食品店のゴミ箱は漁るわ、カブト虫の幼虫を見つけて「今夜はご馳走だぞ!」と小躍りしてみたりと、まぁいつも通りのスタイルに戻っていましたw 変わンねェなぁ・・・君w
PL:新さん坊


・仙波 鈴太郎(せんば りんたろう
 PC3 55歳 male アルケミスト/ブラックマジシャン/ホワイトメイジ
大富豪である伊集院家に代々仕える執事の家*2、“仙波”家・・・鈴太郎もごくごく自然に何の疑いも無く、幼い頃より執事としての教育を受け、そして伊集院家に仕える執事となった。
仙波家にとっては何一つ変わり映えしない人生・・・だがある日、鈴太郎に大きな転機が訪れる。まだ当時幼かった伊集院家の一粒種・詩織を庇い、大事故に巻き込まれてしまったのである。
生死を彷徨いつづける日々。傍らには、自らが救った少女・詩織の姿が常にあった。
どれくらい経ったのであろう・・・少女の祈りが通じたのか、鈴太郎の忠信に天が応えたのか・・・奇跡的に、鈴太郎は息を吹き返した。目を開いた鈴太郎の前に有ったのは目映く輝く宝石・・・そう“シャード”。仙波鈴太郎、“クエスター”としての目覚めであった。
以来、鈴太郎は、今まで以上に伊集院家・・・特に詩織に献身的に尽くし、同時に目覚めたクエスターとしての力をもって世界に仇なすものどもを狩りつづけている。
もう、キャラクターとしての説明は「典型的セバスチャンキャラ」の一言で済んでしまいそうなそんなカンジですw 常にパリッとした燕尾服に身を固め、白いステッキを模したチャンバースタッフを手に、《サンダーフィスト》で敵を粉砕する様は優雅さすら漂ってます。
PL:どらんく


・椿 ナツミ(つばき なつみ)
 PC4 17歳 fele フォックステイル/フォックステイル/ブラックマジシャン
古びた神社に住んでいる、ごくごく普通の女子高生・・・ちょっと古風な話し方をする変わった娘・・・ナツミを見る目のほとんどは、そんな見解である。だが、古くより妖の中の妖と恐れられる“九尾の狐”・・・世界にも数少ない大妖の一人、それこそがナツミの本当の姿である。
・・・とはいえ、彼女の人生(?)は大妖とは思えぬ波乱万丈トンチキ極まりないものである。
まだ自我も芽生えぬ幼き頃、交渉材料として扱われそのまま異世界へ。異世界ではそれはもう聞くも涙、語るも涙・・・な事があったのかどうかは知らないけど、まぁ色々あったようで、なんやかんやで再びこのブルースフィアへと帰還。・・・だが、ようやっと生まれ故郷へ戻ってきたというのに、地球は彼女に対して冷たかった。要するに居場所が無かったのである。すっかり家無き子で途方に暮れるナツミに救いの手を伸ばしてくれたのは、同じフォックステイルである九重サツキであった。「うん、それじゃあ間借りさせてあげる代わりと言うと何だけど・・・あたしの居ない間、神社の清掃とか運営とか管理とかクエスターとしての依頼代行とか・・・諸々よろしくねー♪」・・・結局、体よく扱われてるだけなのでは?誰もがそう思っているのだが、当の本人はあまり気にせずのほほんのほほんと日々を暮らしている。
「今月あと十ウン日・・・この手持ちン百円だけで如何に過ごしたものかのぉ・・・」・・・気にするだけの余裕が無いとも言うw
PL:ユンの字




シナリオの概要はこう、
――ジャックが逃した奈落“インセクト種・マザー”。そのマザーが、静音のクラスメイトにして心に深い闇を抱える少女・伊集院詩織に取り付き、N市を自らの種の苗床にしようと目論む。
それを察知した静音、鈴太郎、ナツミは、マザーを追ってきたジャックと共に、街を、そして少女を救うためにマザーに挑む――
・・・『アルシャード』系では始めての自作シナリオなので、あまり凝ったことをせず・・・また『アルシャードガイア』初めてのPLも居るので、シンプルになるよう分かりやすいよう気をつけて創ろう・・・という想いが先にあったシナリオです。
まぁ、途中からそんな考えユゴスだかヒアデスだかに飛んで行っちゃいましたけどね!w




まずやりたかったことその1・以前失敗した時間制限付き情報収集を再チャレンジしたい!
以前は兎に角ランダム要素が多すぎ+時間制限がキツ過ぎてPLが動けなくなっちゃってたので、その辺りを手直し。1情報収集にかかる時間は30分と固定。その代わり、失敗=情報は手に入らないと分かりやすく変更。制限時間も、全ての情報を順調に手に入れてもかなり余裕があるように調整。
他にも色々あーだこーだと弄りまくって、結果以前の代物とはまるで別物と言って良いギミックになりましたが・・・これはまぁ想定通りに働いてくれて、自分の中では成功! 特に個人的にうまく行ったと思ったのは「情報1つ1つを紙片にしてPLに手渡す」という手法。・・・いや、大昔から使われている今更な手法ではあるのですが、これのおかげでかなり大量の情報を与えたにも関わらず、実にスムーズにセッションを進行する事が出来ました。・・・これは今後も色んなトコで応用しよーっと。




そしてやりたかったことその2・ボスだけでなく雑魚にも加護を持たせ、パズル的に「どの雑魚(加護)から潰していくべきか?」を考えさせるようなクライマックスをやってみたい!
・・・ええ、やる前から「お前、それはもうちょっと『アルシャード』系に慣れてからやれよ」という声が、自分の中からも聞こえてましたよ。でも、やりたかったんだから仕方ないJYAN!!w
結果、《スィン》持ち1体、《オーディン》持ち2体、そして加護10個(この時点では9個)を有するボス・マザー、しかもPC1・静音の万能系加護《ガイア》はヒロイン・詩織をマザーの呪縛から解き放つ為のキー*3・・・という、PCの総加護数よりエネミーの総加護数の方が多いという、『アルシャード』やりこんでる人からすれば「GM自重しろ」と非難されても文句言えない酷いクライマックス、開幕です!*4


まず初ターンセットアップ。勿論迷うことなくGM《スィン》を発動。このターンは敵味方問わず一切の加護が封じられる。
既に敵のデータはある程度PLに教えていたとはいえ、ヘタに大ダメージを連続で受けたら抗する手段・・・《イドゥン》などの復活系加護を使うことも出来ないまま死んでしまうという事実は想像以上にPLに恐怖心を与えたようで・・・


鈴太郎「このままだと私、敵にエンゲージされて何も出来ず殺される可能性があるので…まずジャックがヤツにエンゲージして足止めしてください」
ジャック「いや待て。…俺もガンスリだからHPなんて無ぇ・・・攻撃されたら十二分に死ぬぞ? っつーか、それって誰かを犠牲にして手前ェだけが助かる方法じゃあねーか!w っつーか、手前ェこそ前に出て足止めしろ!!w
鈴太郎そんなことしたら、魔術師キャラの私、死んじゃうじゃないですか!w(逆切れ)
ジャックなんだと!? お前が前に出なきゃ俺のキャラが死ぬじゃあないか!w(更に逆切れ)


・・・醜いw
TRPGをプレイし始めてかなりの年数、かなりの回数を重ねてきたが、こんなに醜い争いは初めて見たw っつーか、これが本来パーティを導いてく立場の年長者2人(しかも男勢)だというのが、醜さを更に増しているw 1200万パワーの醜さですよ?w


しかし、そんな醜い争いを行ったせいか・・・思うように動けず次第にジリ貧になっていくPC達。ターン数だけが無情にも数を増していき・・・遂に4ターン目、敵の攻撃を受けた静音をカバーリングしたジャックが戦死! 後を未来ある若き少女に託し、歴戦の傭兵は『Pmpkin Heads』の面子が待つ天上の世界へ・・・。
ジャックの死を無駄にしてはいけない…満身創痍のまま武器を振るい、術を唱える3人。少しずつ敵の体力は削れ、攻撃力の高い静音の攻撃ならば十二分に射程圏内・・・という所までボスを追い詰める。静音、緊張の命中判定・・・だが、なんとここでまさかの命中判定失敗!! 絶望的な空気が場を支配する中、アルシャード系では珍しい長丁場・5ターン目へ!


・・・この時一瞬、GMの脳裏には「手加減するべきかな?」「実はヒロインの詩織がシャードの力に目覚めてー・・・とかやって大団円にしてやった方がいいのかな?」という事が、凄い勢いでグルグル渦巻いていた。この暗い雰囲気を何とかしたかった。
けど、果たして自分がPLだったなら、ここでそんなあからさまなGMのご都合展開で生き返らせてもらって・・・嬉しいだろうか? 喜ぶだろうか?
答えは考えるまでも無く「NO」。ダイス目の事故、PLの戦略的失敗・・・そういったモノによるキャラクターの死というのも、ある意味TRPGの醍醐味の一つではなかろうか? それに何より、まだPL達の目は死んでは居ない!
一切の手加減をせず、《ネルガル》+《ヘル》使用で全体攻撃。PCの加護は、シナリオフラグとなる静音の《ガイア》のみ。・・・実質、ダイス目以外に頼れるものはなし。
だが、ここで奇跡がひとつ起こる! ナツミがクリティカルを出して回避成功! 静音は残念ながら回避失敗だったのだが、ここでジャックに続き、鈴太郎も鈴音をカバーリング*5 一度は死の渕より蘇りたる紳士も、2度目はその目を開く事はなかった・・・。
そして、運命によって繋がった“命”をもってナツミが、静音が、マザーに立ち向かい、5ターン目にして遂に、インセクト種マザー・撃破。同時に残された唯一の加護《ガイア》使用により伊集院詩織はマザーの呪縛から解き放たれ・・・ここに奈落という脅威は取り除かれる事になった。


エンディングフェイズ。最終的にヘヴィになってしまったシナリオに相応しく―――
――生き永らえた己が命の意味を、2人の遺志の意味を、2人の墓前にて己に問い掛けつつ明日に向かって歩いていく椿ナツミ。
――伊集院詩織の心の闇を取り払い、晴れ晴れとした気持ちで彼女の出立を空港で見送り、そしてまた同じように新たな一歩への出立を迎えた棟条静音。
・・・たまには、こんなふうにちょっとしんみりしたエンディング。大団円とは言えないけど、こういうTRPGの醍醐味が味わえるシナリオもいいんじゃないかなぁ・・・などと思った今回のセッションでした。


・・・でも、今度からはあんまりカツカツ過ぎるシナリオは創らないように気をつけます。ゴメンナサイ(土下寝


【GM経験点 : 39点】  自己評価・・・中の上

*1:ごめん。GMの超☆脚色w

*2:いや、出自「格闘家」だったけどw

*3:ボス「マザー“伊集院詩織”」は《BOSS属性(HP=0で問答無用で死亡)》持ちで、これを消し去る為には《ガイア》が必要とGMから宣告した。

*4:誤解あるとアレなので言っておきますが、勿論模擬戦は行いました。2ターン目でPC達全員生存で勝利しました。・・・したんだけどなぁ・・・。

*5:本来なら《ヘル》によってカバーリング不可になっているので、この裁定はGMのミス。