『ダブルクロス The 2nd edition』セッション 「Under The Blue Sky」



※ 本シナリオは、いわゆる「公式シナリオ」です。
  これより下は、ネタバレしている部分が多分に有る為、読み進める際には“覚悟”した上でお願い致します。
※ また今回は、特にネタバレ度が今までの非でない程高いです。ぶっちゃけプレイした事ある人以外は見ないで下さい。




GM:B+P




・飯綱 太一(いいづな たいち)
PC1 17歳 male キュマイラ/ハヌマーン Dロイス:賢者の石
ワークス/カヴァー:高校生/高校生
データはクイックスタート「荒ぶる魂」を使用。
見た目は日本中、何処にでも居そうなありふれた少年だった。朝登校して、授業を受け、バカな話で盛り上がれる友人も居て、帰れば同じように学校から帰ってきた妹が待っている・・・だが、少年だけは知っていた。自分自身が普通ではない事を。
日本の政界の中でもかなりの力を持つ高官の家に生まれた太一。だが彼は家庭を顧みない父親、幼くして亡くなってしまった母親のせいで、両親の愛情を知らないまま、いつもいつも同じ境遇の妹と一緒に日々を過ごしていた。
ある日、太一と妹は事故に巻き込まれる。普通ならば決して助かるはずのない大事故だ。薄れ行く意識の中で必死に足掻き、妹だけは助けたいと願う。その意思に神が応えたか悪魔が微笑んだか・・・気がついた時には少年も妹も助かっていた。だがその時から少年の日常は大きく変貌してしまう。すなわち、その身に宿りたるはレネゲイト・ウイルスの力と“賢者の石”。
そして今、彼は日常としての高校生活と、UGNのイリーガル『嵐の刃テンペスト・エッジ』としての生活・・・2つの自分を演じつづける日々を送っている。
幼なじみに『名嘉山玲花』という少女がおり、重い病気で闘病生活を送る彼女を見舞うのが習慣となっている。
PL:どらんく


・赤月 誠史郎(あかつき せいしろう)
PC2 25歳 male エグザイル/ハヌマーン
ワークス/カヴァー:研究者/医者
データはクイックスタート「紫紺の華」を使用。
悲劇としか言えない人生・・・だがそれは実際に存在したのだ。
赤月誠史郎は、幼い頃の事故により両親を失う。本来ならば自分も到底助からない状況であったのだが、母親が決死の想いで庇ってくれたおかげで九死に一生を得る。しかし彼の悲劇はここから始まる。
孤児となってしまった彼を引き取ったのは親戚の家。だがそこで酷い虐待を受け、その影響によりオーヴァードとして覚醒。あろうことか虐待を続けていた親類縁者を全て殺害してしまう。かなりの大事件なのだが、ついにUGNの手を持ってしても犯人と思わしき彼の行方は知れず、以後十数年、彼は表世界より姿を消す。
そして今、彼は顔も、名前も、戸籍も、全てを変えて社会へと舞い戻る。基本的な本質は他人の事など興味を持たない、冷徹な性格なのだが、何故かたびたび生まれる人間らしい感情・・・“情”に自分自身戸惑う事がある。とはいえ、一歩間違えばジャームと化すも同然な、UGNにとっては最要注意人物であることは間違いないだろう。現状は『名嘉山玲花』という少女の病の治療にかかりきりで、妖しい動きは見せるそぶりはなさそうなのだが・・・。
PL:Y氏*1


・新居 宗一郎(あらい そういちろう)
PC3 58歳 male ノイマンソラリス
ワークス/カヴァー:UGN支部長A/骨董品店主
UGN設立にも関わった程の重鎮中の重鎮、かつての中枢評議会の代表メンバー。それが彼、新居宗一郎である。
昔、彼には意見の違いから対立はしていたものの、互いを認め合ったライバルと呼べる友が居た。しかしそんな彼がFHとの抗争により命を落とす事になる。その時を境に、宗一郎は中枢を離れ、場末であるK市の支部長へと自ら赴く。「最前線でなければ見えてこないもの、救えないものもある」という言葉を残して。
人柄は、彼の事実上の左遷とも言えるこの事に多くの者が遺憾の意を表し、かの霧谷雄吾ですら自らの座・・・日本支部支部長の座を譲り渡そうとした事からも伺える通りである。尤も、彼自身はそんな多くの声に対し、自分の志は同じ評議会に居る弟が継いでくれていると返しつつ、今日も自ら事件の最前線へと出て行く。
彼には長年追っている標的が居た。FHのエージェント“テスタメント”・・・なかなか尻尾を出さない奴で、ここ数年は大人しかったのだが、最近また新たな活動を始めたという。霧谷雄吾からの連絡を受け、老兵の目に再び輝きが戻る。今度こそ災厄を水際で防いでみせる、と。
PL:白兎


・古刀 霊(ことう れい)
PC4 17歳 female ノイマン/ブラックドッグ Dロイス:複製体
ワークス/カヴァー:UGチルドレンB/高校生
データはクイックスタート「黒い天使」を使用。
いつの頃からUGチルドレンかも分からないまま、気がついたら戦っていた。戦う為に教育されていた。戦いだけが自分を示すものになっていた・・・そんな少女・古刀霊。
ジャームとの戦いでは常に最も危険な前線へと真っ先に投入される、文字通りUGNの切り札である霊は、「ジャーム=抹消すべき存在」という認識を徹底的に叩き込まれており、ジャームに関しては一切の容赦がない。憎しみを持つでもない。哀れに思うでもない。ジャームを倒す事は彼女にとっては流れ作業も同然。だから今までそれに対し何らかの感情を持ったことなどない。ただジャームを見つけて、銃をつきつけ、撃つ。それだけの話だ。
だが、それはジャームになる過程・・・かつて、ジャームが人間であったというその事実を突きつけられたことがない故の認識。勿論頭では理解している。教育課程においても「もう飽きたよ」と言いたくなる程出てきた話だ。・・・しかし、もし殺したくない人がジャームとなってしまったら・・・その時、自分はどうするのであろうか? 『K市にて殺人を繰り返す“ガブリエル”という名のジャームを抹殺せよ」・・・ブリーフィング中、心の隅でふと、そんな事を思った。
PL:掛茶


・緒方 ユキ(おがた ゆき)
PC5 27歳 female モルフェウスノイマン
ワークス/カヴァー:傭兵/探偵
かつては持ち前のモルフェウスによるあらゆる銃器を創る能力・ノイマン故の戦局を一瞬で理解する頭脳をもって、UGNでも名の知れたオーヴァードであった。
だが、彼女にはどうしても許せないものがあった。組織上層部の腐敗と堕落・・・決定的であったのが“ミリオンサンズ”アッシュ・レドリックのやり方。彼女は憤慨し、何度も彼らに対し意見し、その度に衝突を繰り返した。能力が優秀でなければとっくにUGNから追放されてもおかしくない程の行動である。だが彼女は遂に追放される事は無かった・・・追放より先に、彼女自身がUGNに失望、脱退したのだ。
それからどれくらいの時が経ったのだろう・・・緒方ユキは、今はしがない探偵で日々を何とか食いつないでいる。持ち前の豪快ながらも人懐こく物怖じしない性格故、コネクションだけは沢山有している。UGN時代に何度もお世話になった霧谷雄吾、PC3・新居宗一郎などはその最たる例であり、今でも時折イリーガルとして彼らからの依頼を受ける事がある。
そんな彼女に新たな仕事のタネが振ってくる。依頼主はなんと、年端もいかぬ少女。少女は言う「悪い“天使”を倒してください!」。
PL:ユンの字




・・・というワケで、今回のゲームは今をときめくみんなのアイドルやのにゃんデザインの言わずと知れた傑作ダブルクロス The 2nd edition』
選択したシナリオはGF誌別冊『菊地たけしがまたまいりました!!』収録のシナリオ「Under The Blue Sky」
・・・いえ、ホントは基本ルルブのシナリオ1やろうと思ったんですが・・・白兎氏、掛茶氏、ユンの字氏の3人は既にそのシナリオはプレイしたことがあるという事で・・・1人2人なら周知プレイもありかなーとは思ったのですが、流石に5人中3人はヤヴァイという事で、急遽引っ張り出してきました。


さて、まずはプリプレイ時の会話からなのですが・・・まずそもそもGMである自分は、DXでGMやるのは初めてでございます。更に盟友どらんくもDXはリプレイのみでプレイは初めて。更にGMを凍りつかせたのは今回の特別ゲストである、掛茶氏の親友Y氏の存在。なんと話によるとTRPGはえっらく久しぶりで、過去やってたのは『GURPS 妖魔夜行』というゲゲェーッ『百鬼夜翔』ですらなく『妖魔夜行』!? 勿論近年のFEAR系列の作品なんて知る由も無し。初めてのGMで始めてのPLおよびそもそも超☆久しぶりにTRPGやる人間・・・もし、二人に「DXイマイチ・・・」とか「最近のTRPGって面白くねェなァ・・・」とか思われら全て俺の責任でスか!? 俺オワタ\(^o^)/


・・・そんなワケで内心かなりビビりながらセッション当日。作成されたキャラは上記のごとくであります。そしていよいよセッションスタート! なお、今回かなりのどシリアスシナリオなので、ここからちょいとおふざけ文章は自重。ちょっと頑張って大真面目にレポしてみたいと思います。オ、オデがんばるぞぉ〜!!


繰り返しになりますが、今回は今まで以上にネタバレ度が高いので注意を!!




――――物語はヒロインである名嘉山玲花を中心に動いて行く。彼女は長い間重い病の為、闘病生活を強いられていた。そんな少女はPC1・飯綱太一に語る。「私の一番の夢は、この青空を自由に飛びまわること」。
PC2・赤月誠史郎の診断の結果、彼女のその病はいよいよもって末期状態。その余命はわずか3ヶ月・・・。FHエージェント“テスタメント”は、そんな彼女の心の隙を突き、玲花を邪悪なジャーム“ガブリエル”と変えてしまう。
“テスタメント”・・・そして“ガブリエル”・名嘉山玲花の凶行を止める為、オーヴァード達の辛く、悲しい戦いが始まる。。




上記の説明の通り、調査を続けて行くうちに、知りたくない事実が次々と明かされていく。
新居宗一郎の調査の結果――“ガブリエル”による殺人事件は、病院の周囲で起きている。
古刀霊の調査の結果――その活動時間の短さから、“ガブリエル”の母体はかなり弱っていると見られる。
赤月誠史郎の調査の結果――玲花の衣服についていた白い羽・・・それはオーヴァードもしくはジャームのものと判明。
緒方ユキの調査の結果――FHエージェント“テスタメント”・・・彼は、他者をジャーム化させる技術を研究している。
・・・それは、誰の目から見ても明らかな程一つの答えを導き出していた。決定的だったのは、玲花が病室から抜け出し、翌日公園にて血に塗れた衣服の状態で発見されているという事実。玲花が“ガブリエル”だった。


その事実を・・・理解はしている、疑う余地も無い・・・だが受け入れられずにいる者がいた。名嘉山玲花の幼なじみ、飯綱太一。
あれから玲花の容態は日に日に悪くなっていった。検査の結果、彼女の体内に埋め込まれた“賢者の石”の力・・・そしてレネゲイト・ウイルスの力が大きな負担になっている事が分かる。分かってはいても手の打ちようは無い。元凶である“テスタメント”の居場所すら分からない。
何も出来ないまま、ついに峠を迎える少女の傍らに立つ少年。少女は語る、かつての思い出を。それは久しぶりの外出許可が下りた日、二人で近くの教会に訪れた日の事。ミサが終わり、放心状態の二人に話し掛けてきた優しい神父。「求めなさい。そうすれば父は与えてくださります」。・・・・・・・・・“テスタメント”が事件の後に必ず残すメッセージ・・・『求めよ、さすれば父は与えてくださる』・・・・・・全てが繋がった。


少年が病院を飛び出すとほぼ同時に、玲花の中に埋め込まれた“賢者の石”もクライマックスを迎えていた。
宿主の命を吸い取り成長する“賢者の石”・・・玲花は、姉・静子や他のPC達の目の前でジャーム“ガブリエル”と化し、最後の役目を果たす為に空に舞い上がり、そのまま去って行く。「求メナサイ。ソウスレバ、与エラレル」「収穫ノ時、来タレリ」。




そしてクライマックス直前。これまでのシリアスな展開に場の空気の緊張感は最高潮。


ここでGMから本シナリオの最大の焦点・・・「シナリオ通りで行くならば、ヒロインはどうあっても助からない」という旨を説明。そう、このシナリオ、物語はヒロイン・名嘉山玲花の死によって締められているのである。
しかし、だからといって必ずしも筋書き通りシナリオに100%従わなくてはならないわけではないのがTRPG。それに何より、やっぱりSAD ENDでしんみりするよりは、HAPPY ENDで笑顔で終わりたいじゃあないですか! GMはその事をPLに伝え、もしどうしても助けたいというのであれば、クライマックスの戦闘の後、クライマックス2としてヒロインを助ける為の判定を行うと宣言。
ただしこの判定の難易度は〈RC〉で難易度20、しかもPC1が1回のみ挑戦可能で、とある条件により難易度は下がるが、エフェクトおよび「Dロイス:賢者の石」によるダイスブースト、クリティカル値の減少はなし(タイタスによるダイスブースト、クリティカル値の減少、達成値の上昇は許可)という、ただでさえ侵食率の上昇が大きなPC1にとってはかなり厳しい代物。更にボスのデータは強化してある旨もここで宣言。
確実にヒロインを助けるとなると、残せるロイスはおそらく2、3個・・・この後の衝動判定等の結果次第だが、おそらく衝動値は低くて120後半、高ければ140オーバーもありえる。ならば2倍振りは確実。ひょっとしたら3倍振りも覚悟しなくては・・・否、3倍振りでもアウトの可能性だって十二分にありえる域。それでもここでPC1・飯綱太一が出した答えは力強く「玲花を助けたい」


・・・玲花の命、自分自身の存在、両方をかけていざシナリオ最後の敵・“テスタメント”と相対する為に舞台は決戦の地、教会へと飛ぶ。




――――かつて、太一と玲花が外出許可がおりた際に訪れた教会。そこで二人は既に会っていた。そう、今シナリオの敵・・・神父になりすまし、玲花に“賢者の石”を埋め込み、玲花をジャーム“ガブリエル”へと変貌させ、玲花の命そのものを刈り取ろうとしている悪魔・“テスタメント”と。
クライマックスフェイズ。自分の研究の為だけに玲花をモノ扱いし、しかも飯綱太一が“賢者の石”の適合者だと知るや否や節操なく「協力してください」と言うテスタメントだが、太一はこれをきっぱりと拒絶。PC達の心も一つとなったところでテスタメントは穏やかな神父としてのペルソナを脱ぎ去り、周囲を黒い衝動――ワーディングで覆って行く。最終戦闘の幕が切って落とされた。


――――ここでくだけた文章に少々戻らせていただきますw
っつーワケでラスボス戦です。相手は1体とはいえ、その力はPC達とは天と地の差! まずは無数のエフェクトを組み合わせ、全PCに対し攻撃! 命中達成値は・・・40オーバー! 「そんなもん、避けられるか!」という恨みがましいPL達の声にGM大満足w 勿論その攻撃力は全てのPCのHPを刈り取るのに十二分な量。ふははははこれが“テスタメント”の力だあああああ!
皆、〈リザレクト〉を行い復活。だが誰も彼もこの時点で侵食率が100オーバー。もうリザレクトは効かない・・・ぞ・・・・・・ってアレ? 何故にお前一人だけまだ侵食率80%台とか言ってるのだ? 緒方ユキw アンタ、散々色んなシーンに出てた上にジェネシフトまでしてたよなァ、確かw


続いてPC達の行動。ノイマンソラリスの新居宗一郎の支援と、モルフェウスノイマンの緒方ユキの支援が他の3人へと飛ぶ・・・っつーか、このパーティ、支援キャラ2人かヨ!! なんか、ダイスボーナス+7個とかクリティカル値−1とか言っててGM心底ゲンナリw ・・・っかしいなぁ・・・“テスタメント”・・・強化したつもりだったんだけど・・・何だかあんまり強くなった気がしないなァ・・・。


だが“テスタメント”とてシナリオ最後の障害としての意地がある! 続く2ターン目、再び全体攻撃を繰り出す。回避は全員失敗。
・・・ここでこの後に控えているクライマックス2の為にも、一つもロイス/タイタスを無駄にしたくない太一の為、赤月先生がカバーリング! 「ではこの瞬間、幼い頃に見た自分を庇う母親の姿が一瞬蘇り、今までの自分が認識したことない感情の赴くまま太一をカバーリング。力(タイタスの昇華)にするのは“母親”のタイタス!」「おおお格好いいー!!TRPG久しぶりな上、DX始めてな人間とは思えない素晴らしい演出に、GM含む皆から賞賛の声。支部長、霊もロイスをタイタスにし復活。「何故だ・・・何故倒れんッッ!?」狼狽する“テスタメント”。そしてそんな横で今だに〈リザレクト〉してるユキねえさんw


そしてPC1・・・飯綱太一の攻撃。侵食率を考えると、この攻撃が自分にとっての最後の攻撃となるだろう。他のみんなの侵食率を考えると、この一撃で倒せなければ、自律判定で2倍振り3倍振りのPCが自分以外にも多数出てくる可能性が高くなる。
ここでPC1、奥の手の「Dロイス:賢者の石」を発動! あらゆるエフェクトを組み合わせ、宗一郎とユキの支援も加えて・・・更にここでダメ押しの“テスタメント”へのロイスをタイタスへ、そして昇華! クリティカル値を−1! 結果、クリティカル値3とかいうわけわかんねぇ数値の判定、ここに開幕ですww
大量のd10がバラ撒かれ・・・・・・10、20、30・・・100、110、120・・・200、220、240・・・・・・結果、達成値292とかいうヤケクソにも程がある数値爆誕ww 回避? 出来るかッ! そんなモンッッ!!(超☆涙目
そして哀れ54点ものHPを残していた“テスタメント”は、157点とかいうチリどころか血痕すら残さぬ暴風雨の刃により、その邪悪な野望を成し遂げる事なくこの世を去ったのでした。強化したつもりだったんだけどなァ・・・(泣




“テスタメント”との戦いも終わり、先に宣告しておいた通り、クライマックス2へ。
勿論まだ自律判定前なので衝動値は全員上昇する。ここでも太一のダイス目は運良く低い出目。何とか侵食率は120台後半に収めることが出来た。・・・あとは判定に成功するのみ。


なお、先の「クライマックス2の難易度を下げるとある条件」とは、『何人“名嘉山玲花”に対してロイスを取っているか』というもの。つまり、彼女の事を心から思っている・・・彼女が現世に戻る為の拠り所となると言ってもいい存在が何人居るか・・・というものでした。この時点でPC達のロイス欄は全て埋まっており、その中で“名嘉山玲花”に対してロイスを取っている人間は3人・・・この数×2が目標の20から引き下げられ、目標値は14へ。数値はだいぶ低くなったように見えますが、やはり1回はクリティカルしないと絶対に届かない数値。緊張は続きます。
PC1、長考の末にロイスを2個タイタスに変えこれを昇華。ダイスを10個増やした上クリティカル値を−1する。残るロイスは3つだけ。これに本来の〈RC〉技能の判定値・・・ダイス2個、技能レベル2を修正すると・・・ダイス12個、クリティカル値9、目標値12。1個でも回れば成功がかなり現実的になる数値。1個でも回ればの話ですが・・・。


先のクライマックスの戦闘でも感じられなかった緊張が張り詰める中、いよいよ気合を入れてダイスロール!
出た出目は・・・・・・・・・・・・・・・12個中、1個だけクリティカル! 神様はとことん盛り上げるのがお上手で!
あとはこの1個で出目2以上を出せばいいだけ・・・逆に言えば、確立1/10で判定失敗。TRPGをやった事ある人ならば、この手の緊張感・・・確立などでなく、「失敗する可能性がある」時のプレッシャーは分かっていただけるかと。
たった1個だけというか細く頼りないダイスロール。でも泣いても笑ってもこれが最後・・・・・・ダイスが投じられ・・・・・・出目は・・・・・・・・・7! 達成値は19となり、『DXリプレイ・アライブ』でもあったように、玲花の中に埋め込まれた賢者の石は太一の中へと吸収され・・・・・・ここまで来たんだから、奇跡はばァ〜ンと派手でご都合の方がいいですよね! 少年と少女は、2つの“賢者の石”が放つ光に包まれ、そして・・・・・・。




――――エンディングフェイズ。
事件は全て解決。悪い魔法使いは正義の味方によって倒され、再び平和が取り戻されました。
しかし、全てが全て万事丸く収まったわけではなく――――



少女の主治医を務めていたあのフリーのオーヴァード・・・赤月誠史郎は、この度の事件により“賢者の石”に甚く興味を持ち、UGNには秘密裏にあの教会にあったテスタメントの研究資料を持ち去る。
・・・最後の最後、思わず飯綱太一を庇ってしまった時に感じたあの感情・・・そして幻視した自分を庇う母親の映像・・・あれは何だったのか・・・・・・だが今は、この資料の内容、そして“賢者の石”の方が遥かに興味深い。それは新たな“テスタメント”の誕生なのか・・・それとも・・・。
その日をもって、彼の行方を知る者は誰も居なくなる。彼の心に再び光が戻る日は何時になるのだろうか・・・。


全てを終えた緒方ユキは、UGNのK市支部支部長室を訪ねていた。
UGNも腐りきっては居ない。こんな事件を二度と起こさない為にも、再びUGNで“日常”を守るために戦いたいと告げるユキ。それを全て見通していたかのようにニヤリと笑い、彼女の新しいポジションを告げる新居宗一郎。
今回の事件は考えうる限り最上の結果に終わった。だが残った問題も数多くある。・・・果たして、誰がテスタメントに“賢者の石”を提供したのか? UGNにおいても、FHにおいても、トップシークレットである“賢者の石”・・・FHエージェントとはいえ、部下も置かず、たった一人で研究していたテスタメント・・・・・・そもそも、“賢者の石”とは? いや、“レネゲイト・ウイルス”とは??
彼らの戦いは今、ようやく第一歩を踏み出したばかりなのかもしれない・・・。


全ての事後処理が終わり、まるで死闘が嘘であったかのようにあの教会は修築され、本日休日は礼拝に訪れる人々を見ることが出来た。
それを少し遠くから見つめる少女・古刀霊。ジャームは残らず全て敵。我々の概念の外の存在。居てはいけない奴ら。殺して当たり前。殺さなくてはならない。殺すべき存在・・・そう思い、何体も、何体も、何体も、何体も・・・・・・。
ふと我に返ると少年が霊を見つめていた。少年は少女に問う、「神さまは良い子にしてると願い事をかなえてくれるんだよ」「お姉ちゃんは良い子にしてる?」
答えようと思った。声を出そうと思った。しかし言葉が出てこない。答えも導き出せない。
少年は、答えを聞くより前に母親の呼び声に応えて霊の元から去って行く。少年の問いかけの意味、自分の存在理由、そしてジャーム/オーヴァードであるという事・・・自分でもコントロール出来ない感情を胸に、少女は再び“日常”の影へと帰っていく・・・。


――――時は過ぎ、今ではあの時の事も思い出の中へと埋没してしまいそうだ。
少年は、車椅子に乗った少女と共に、病院が見える小高い丘の上に居た。それは少年にとっての“日常”。少女にとっての“日常”・・・しかし、以前と違い、緩やかなる斜陽の日々ではなく、光ある未来に向かっているのを二人は感じていた。
レネゲイト・ウイルスと“賢者の石”が起こした奇跡か、はたまた神の戯れか、それとも少年の一途な思いが引き起こした“絆”故か・・・・・・少女はジャームから何の力も持たない一般人へと戻り、しかもあと3ヶ月と診断されていた病も奇跡的に回復。まだまだリハビリには何年も何年もかかるのだが、少女を被う黒い影は、全て取り払われたのであった。
だが彼女が“ガブリエル”として犯した罪だけは依然残っている。今は影響は見られないが、いずれその罪が形となり、彼女を再び蝕む事があるかもしれない。だがもう大丈夫。彼女の傍らには、彼女を支えてくれる少年がいつも一緒だから。
少女は少年に謝る。本当の一番の夢は『空を飛ぶことでは無い』という事を。本当の夢・・・それは、少年と幼い頃約束した拙い夢・・・いつか、ふたり一緒になろうという夢・・・少年のおよめさんになるという夢・・・。
少女――名嘉山玲花と、少年――飯綱太一の頭上を、白い小鳥が飛んで行く。舞い散る羽は風に飛ばされ、小鳥たちと共にどこまでも飛んで行く。
――――風に吹かれ、どこまでも自由に――――


【GM経験点 : 17点】 自己評価・・・中の上

*1:本名であった為、イニシャルにさせて頂きます。